内容紹介
俺たちの青春はマスクと共にあったと言っていい。
同中の友だちも、進学してから仲良くなったクラスメイトも、先生も、好きになった女子もマスクをつけていた。
こんな時代じゃ好きな子の素顔も拝めない。だって素顔は “センシティブ情報” 。
素顔を見せるのは恥ずかしい──それが当たり前だった。
だから俺が『声フェチ』になったのもきっと自然なことだろう。
ここ最近はマスクを外す人も出てきたけど、俺の好きな子は相変わらずマスクをつけていた。
「しょーがないじゃぁん。マスクしてんだからさー」
俺の好きな人の、クラスメイトの塚松さん。
声が小さい塚松さん。
マスクをつけてて余計に聞こえづらい塚松さん。
声が小さくてしょっちゅう聞き返される塚松さん。
でも、俺はそんな塚松さんの声が好きだ。
聞き取れるようにと顔を寄せて囁くように話す仕草が好きだ。
小さくても、マスク越しでもよく分かるコロコロとした表情豊かな声が好きだ。
負けず嫌いですぐマウントを取りたがるのに幸せな気分にされられる天才的な声が好きだ。
微笑んだり驚いたりするときに眼鏡ごしに見える大きな瞳が見開いたり細められるのが好きだ。
瞬きをするだけで窓から差し込む日差しで作られる長いまつ毛の影がバッサバッサと動くのが好きだ。
好奇心旺盛で、知らないことがあると目をキラキラとさせて必死に「教えて」と懇願してくるのが好きだ。
周りが騒がしいと「声が通らない」と静かなところで二人っきりになろうとする隙だらけなところも好きだ。
素顔は知らない……けど、とにかく塚松さんの声が好きだ。
塚松さんのことが──大好きだ。
あぁ、マスク越しじゃなくて直接声を聞けたらどんなに嬉しいだろう。
塚松さんの素顔を見ながら、表情豊かに動く唇から発せられた音を聞けたなら、どんなに幸せだろうか。
一度でいいから、素顔が見てみたい。
朗らかに笑うときの表情を一度でいいから拝んでみたい。
あぁ、塚松さん。
俺は多くは望まない……
だから、素顔が見れなくてもこうやって会話をしてくれるなら、
こういうちょうどいい関係のままも悪くないな。
そう思っていたのに。
いつものように、囁くような声を聞いて密かに“勃起”させていただけなのに。
「じゃあ……マスク外して、生の声聞いてみる?」
そう言って、塚松さんはマスクを外して微笑んでみせた。
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