内容紹介
毎日同じ電車。毎日同じ時間。毎日、終電。
この車両には、いつも自分一人。
そして──隣の車両には、いつもあの娘が一人。
見ているだけだった。
毎日、見ているだけだった。
あの娘が降りるまでの数駅、
ただ、窓越しに見ているだけ──のはずだった。
ある夜。いつもの終電。いつもの車両。
──見知らぬ男が、隣に座った。
ニット帽。低い声。暗い目。
その男は、こう言った。
「おい。
この車両にはお前と俺しかいないんだよ。」
「ほら、あそこに座っているやつ見ろ。」
「お前欲しいんだろ。」
「ほら。ほら。」
「分かってんだよ。俺は分かってんだよ。」
「お前のことは知ってんだ。」
「お前、欲しいんだろ。」
「──俺についてこい。」
心臓が鳴っている。
この男は、誰だ。
なぜ、俺の「欲しい」を知っている。
なぜ、毎晩見ていたことを知っている。
逃げることもできた。
無視することもできた。
次の駅で降りることもできた。
──でも、あなたは立ち上がった。
男の後を追って、隣の車両へ。
あの娘が座っている、車両へ。
メイン画像には立体感を表現のため一部AIを使用しております。
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